中学校の教科書を見ていると、特に中1ですが、なんとかして会話のフレーズを覚えさせようとしているのがわかります。
なぜなら、中1の最初だけで、be動詞、一般動詞、助動詞であるcan、不定詞の名詞的用法、そして、疑問詞が大量に出てくるからです。
日常会話を重視しているので、例えば、「~したい」とか「~はどこか」など外人に自分の要望を伝えることはできるようになります。
しかし、この会話のフレーズを丸々覚えてしまおうというのは、海外旅行のためのガイドブックと同じなんです。
海外旅行のガイドブック(今はスマホで翻訳アプリがある)には、現地の人に自分の要望を伝えるための会話例が山ほど載っています。
こういう場面なら、こう話せみたいな感じで、いろいろな表現を載せているのです。
それを持った日本人は海外旅行に行くと、ガイドブック片手に現地の人に要望を伝えます。
若干の発音ミスによりうまく伝わらない場合がありますが、たいていの要望は伝えることができるでしょう。
しかし、このガイドブックは大人用のものです。
大人たちは義務教育で、受験勉強で、英語というものに触れています。
英文法などが完璧ではなくても、ガイドブックで出てくる英単語くらいは意味を知っていると思います。
ただ、このガイドブックを英語未経験の子達に渡したらどうなるでしょうか。
ガイドブックに書かれている日本語は理解できるでしょうが、英語が何を言っているのかはわかりません。
きっとカタカナで書かれている部分を棒読みで読むのでしょう。
それでも、自分の要望を相手に伝えられれば海外旅行では問題ありません。
しかし、相手が何を言っているのかはもちろんのこと、相手がだまそうとしてきてもその嘘に気づきません。
ま、こればかりは大人でも難しいですけどね。
このように会話重視の英語教育がすでに中学校で始まっているのです。
よく内容は分からないまま、学校の授業では繰り返し発音するように指示されます。
そして、自分で文を作らせ、グループワークで会話をさせるのです。
その内容は単調なものです。
みんながみんな周りの真似をして、それを相手に伝えるのです。
子どもはよくわからないまま、「こういうときはこう言えばいいんだ」と学んでいくのです。
そして、なんとなくそのフレーズだけが頭の中に残っていきながら成長していきます。
しかし、文のルールなどはよくわかっていないので、応用がききません。
そもそも英単語の量がないので、豊かな英文など作れるはずもないのです。
きっと定期テストはそのフレーズをまんま書かせて終了でしょう。
文をまるごと覚えさせ、それが書ければ点数になるのです。
であれば、出てくるだろう文を丸暗記してしまえば点数はとれるでしょう。
ただ、ずっと何でそうなるのかは説明されないままですので、よくわからないけど英語のフレーズだけが蓄積されていくのです。
しかし、それが高校入試になったときに通用するのでしょうか?
会話文はともかく、長文となると、英語がよくわからないままにここまで来た子がわかるはずもありません。
そもそも、英単語を覚えてもどう使えばいいのかがわからないのです。
それを自力で理解しろというなら、学校にいる間ずっと英語で話し続けないと無理でしょう。
言語なのだから、その言語を使う時間が長ければ長いほど、身についていって英文も自然と作れるようになります。
私たちだって、日本語をずっと使い続けているから、きちんとした発音と、きちんとした文を書くことができているわけです。
英語は日本語よりも簡単な言語ですので、それこそ3年間英語しか話さないで生活すれば、自然と英語が身についてしまうでしょう。
英語というか、言語はそういう性質なわけだからこそ、留学する人が絶えないのです。
長期留学さえしてしまえば、現地の言葉は話せるようになるし、聞けるようになります。
結局、言語力というのは、その言語に慣れ親しんだ時間が大事なのです。
もちろん、英語をずっと話させるなどできるわけもないので、日本人が教育だけで英語を話せるわけがないのです。
学校は当分の間、この方針を貫き通します。
かつてのゆとり教育が間違いだったと気づくように、この英語教育では英語ができるようにならないと気づくでしょう。
そのとき、従来のやり方に戻すのか、さらに進化を遂げようとするのかはわかりません。
ただ、今を生きている子どもたちは、この危機を乗り越えないといけないと思います。
手遅れになる前に、英語だけは学校外でも教わるようにしましょう。
最低でも、英文法を教えてくれる塾に行くことをオススメしますよ。
英語がなんたるかをしっかりと理解して英語を学んでいきましょうね。
それでは、今日はこの辺で。