医者になりたいと言った教え子が何人かいました。
しかし、残念ながら、医者になった教え子はいません。
頑張ってはいたんですが、そんなに簡単にはなれるものではないのです。
一人の子は、親が医者でした。
その子は最初は医者になる気などありませんでした。
しかし、高2のある時期に医者になりたいと言い出したのです。
親は医者になることの厳しさが分かっていますので、高3の夏までに偏差値が60を超えていなければ受けさせることはできないという条件を出しました。
その子は死に物狂いで頑張りました。
それこそ寝る間も惜しんで勉強しました。
ただ、体が弱い子だったので、頑張る度に体を壊していました。
私は「頑張るのはいいけど、いちいち体を壊しているのは効率が悪いよ」と指摘をし、規則正しく勉強させることにしました。
ノルマまではあと少しというところで期限を迎えましたが、その子の親は頑張りを認めて医学部の受験を認めました。
しかし、現役では合格できずに浪人へ。
何度も挑戦しましたが、夢は叶わず、今は違う道で頑張っています。
また別の一人の子は、軽い気持ちで医者になりたいと言っていました。
その子にとって、かっこいい職業=医者だったのでしょう。
高1のころから医者になりたいと言っていました。
ただ、行動が伴いませんでした。
何度私に怒られても、一向に勉強しようとしません。
せいぜい勉強したのは定期テスト前くらいです。
私の出した目標はとうとう達成することはありませんでした。
そして、私は高2になったその子に向かって「おまえは医者になるべきではないし、医者はお前みたいな人がなるべき職業ではない」と最後通告を言い渡しました。
結局、その子はすぐに医者になることを諦め、別の道を探し、今はその道を目指して頑張っています。
私が挙げた二人の例を比べたら、本気でその道を目指した人の行動がわかると思います。
一人は本気でその道を目指し、もう片方はその道を軽い気持ちで目指したのです。
本気で目指していた子は人に言われずとも行動しています。
逆にその頑張りを止められるくらい、勉強しているのです。
一方で、本気でない子は人に言われても行動ができません。
本気で目指していないのだから、そりゃそうなんでしょう。
こういう子は人のアドバイスなんて聞きませんから。
つまり、言い換えれば、何も言われずとも行動できている子は本気の子で、言われないと行動できないのは本気ではない子といえます。
ちなみに、今教えている生徒の中にも、言われずとも行動している子が何人もいます。
その子達は、本気で行きたい高校を目指しているのです。
そして、その後、自分のなりたい道がハッキリしていて、そこを目指すために頑張っているのです。
そういう子たちを指導していると、こちらも気持ちよくなります。
教えていて、すがすがしいんです。
その子自身が持つオーラというのでしょうか。
それに接すると、こちらも元気になるんですよね。
本気で何かを目指すようになるためには、刺激を与えることが大事になります。
親子の会話や親子で体験することが、その子の進路を決める手助けになります。
親子で憧れをもち、その夢を叶えた先の未来を想像するのです。
刺激を多く受けた子というのは、自然と自分の進路を考え始めるようになります。
大事なことは、子どもが途方もない夢を見たとしても、それを肯定してあげることです。
現実の厳しさはいずれ知ることになるのです。
それまでは無邪気にその夢を追いかけさせてあげましょう。
その代わり、甘い態度や行動に対しては厳しく接してくださいね。
「そんな体たらくで○○になれると思ってんのか~!!」くらいの勢いで子どもに接してもいいと思いますよ。
それで諦めてしまうのであれば、そこまでの夢だったということですから。
それでは、今日はこの辺で。