3段論法という考え方をご存じでしょうか?
「AならばB、BならばC、だからAならばC」
という考え方です。
※厳密にいうと、もう少し説明が必要ですが、その説明は割愛します。
基礎問題というのは、「AならばB」という聞き方をしてきます。
一つの知識を知っていれば問題が解けるわけです。
例を言えば、一問一答ですかね。
一つの問題に一つの答えが用意されています。
用語を覚えるときなどは使える問題ではあるのですが、それだけではダメなのです。
先日、茨城県の入試問題が変わったことを書きましたが、このような基礎問題だけを解いていても入試問題が解けなくなったのです。
以前までは、入試直前はひたすら一問一答をやって、とにかく用語を覚えることが有効でした。
しかし、今後は上記で上げた三段論法的な考え方が必要になってくるのです。
つまり、「AならばC」という聞き方をしてくることになるのです。
これを解くとなると、自分でAからBを求めて、そこからCを求めていかないといけません。
知識ももちろん必要ですが、それよりも展開を読む力が大事になってくるのです。
ただ、今の子ども達というのは、短絡的な思考しかしていません。
そもそも問題で何を聞かれているのかがわかっておらず、自分で求めた答えが真の答えにたどり着いてもいないのに、その答えで満足してしまうのです。
例えば、図形の問題です。
「円柱の側面の面積から底面の半径を求める」問題があったとします。
この場合、円柱の側面の面積を円柱の高さで割り、その答えを円周率3.14で割って、最後に2で割らないといけません。
もう少し詳しく書くと、
円柱の側面の面積を円柱の高さで割る⇒円柱の横の長さが求められる
円柱の横の長さは底面の円周と同じであるから、
円柱の横の長さを円周率3.14で割る⇒円柱の底面の直径が求められる
そして、求められているのは底面の半径なので、2で割ることで底面の半径を求めることとなるのです。
ここまでやって答えが求められるわけですから、三段論法どころの話ではありませんね。
ほとんどの子が最初の段階でつまずくか、次の段階まで進んでも正答までたどり着けずに終わる場合が多いです。
つまり、ゴールまでの道筋を考えることができないため、正答までの道のりを進むことができないのです。
ちなみに、これは小5の問題ですからね。
発展問題ではありますが、小学5年生が解けなくてはいけない問題なんです。
この問題を中学生にやらせて果たして何人が解けるのでしょうか?
展開を読む力というのは、数学だけの話ではありません。
国語でもストーリーの展開を読む力は非常に大事になります。
その力があるかないかで、読解力はもちろんのこと、読むスピードも上がってくるのです。
国語の読解力は英語に活用できますし、理科や社会でも応用可能です。
こういう展開を読む力が優れている子は、次にどういう展開になるかが読めるため、すべての教科でアドバンテージをとることができるのです。
では、こういう子を育てるためにはどうすればいいのか・・・
簡単な方法は「本」を読むことです。
この場合、自分の好きなジャンルの本を読むことが大事になります。
漫画でも構いません。
自分の好きなジャンルの漫画を読みあさるのは良いことです。
ドラマや映画などのストーリーがあるものを見せるのも有効かもしれません。
残念ながら、スマホでSNSで遊んでいる子やゲームばかりやっている子は、展開を読む力を身につけるのは厳しいかもしれません。
なぜなら、そういう類いのものは、頭を動かす必要がないものだからです。
人は楽に楽しめるからこそ、そういうものにはまってしまうのでしょう。
しかし、楽をして頭を動かすことを怠けているものは、結局頭は良くなっていかないのです。
LINEで友達と語っていても、インスタで映える写真をあげていても、好きなアーティストの踊りを動画で見ていても、YouTubeでバラエティを見ていても、頭が動くことはないでしょう。
茨城県の入試問題というのは、ある意味、時代とは逆行しているのかもしれません。
現代人が乏しくなった能力をあえて試している気がします。
しかし、その能力こそ本当に大事なものと言えるのです。
大学入試の問題は展開が読めない子には解くことができません。
時代とともにそういう形に変わってきているのです。
地頭を鍛えるということですかね?
そういう鍛え方をしないと、高校は行けても大学は行けないなんてことになりかねませんよ。
常に先を見越して考えていくことこそ何よりも大事なことだと思います。
それでは、今日はこの辺で。